「技術移転と私の歩み」
株式会社 先端科学技術インキュベーションセンター(CASTI)
代表取締役社長
兼
CEO 山本 貴史
要旨作成:古関 誠
【歩み】大学のゼミで技術移転を選択し、日本人は高い技術を持っているのでそれをmodifyして製品化する力があるのでは、という考えを抱く。卒業後35歳で起業をというベンチャー志向を持ってリクルートに入社。10年以上に渡って営業経験を積む間に、プレゼンテーション能力や様々なタイプの人と交渉するといったビジネススキルを身につける。40歳を前に日本の競争優位とは何なのかを突き詰めて考えた結果、「日本の競争優位を実現するカギは『知識』であり、知識社会の実現こそが、真の構造改革である。」との結論に至る。
「大学の良い技術を早く移転することがもとめられているのでは」という思いを新規事業として提案し入選。大きな利益にはならないが社会的な意義があると考え、クビを覚悟で「勝手に」行動を開始。1997年にスタンフォード大学の技術移転機関の創設者であるニルス・ライマース氏と契約を結びミニ事業化を提案する。第1号ライセンス契約、大学・TLOとの提携を経て2000年より本格事業化を図る。同年4月に退社し、CASTIへ入社。新しいビジネスは景気後退の時期がチャンスだとし、今後も挑戦を続ける。
【提言】今後の産学連携に求められる環境にはSeedの発掘(仕入れ)、発明の権利化(加工)、マーケティング(販売)の円滑かつ効果的な環境構築がカギであるとし以下の提言をする。
○国立大学に法人格を持たせ、学内の知的財産を全て大学へ一括帰属させ、その知財の取扱いをTLOに委託する仕組みが必要
○試作品・リサーチツール等所有権・著作権の取扱いルールの確立が必要
○全ての研究費は、大学帰属とし、大学にマネジメントを一任する
○独立行政法人化された大学には、起業支援を行うインキュベータが必要