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Marketing」
        株式会社リクルート テクノロジーマネジメントディビジョン
ディビジョンエグゼクティブ
原 豊

要旨作成:谷口雄一

 19987月に、株式会社リクルートで技術移転活動が開始されました。これは、研究者と直接、またはTLO、大学を介して提携し、特許の権利化や、民間企業への技術移転をサポートするものです。

 技術移転は、企業側と研究者側双方に対して多大なメリットをもたらします。企業側は開発が困難な基礎研究の研究成果を得ることができますし、大学側は研究資金・収入の獲得、知的財産の権利化、社会への貢献を行うことができます。

 原氏がディビジョンエグゼクティブを務めるテクノロジーマネジメントディビジョンは、マーケティングのアウトソース先としての役割を担っています。マーケティング活動における基本的スタンスは3つあります。1つ目は「お見合いのおばあちゃん」:ふさわしい企業にとりあえず話を持ちかけ、その反応をもとにして再度戦略をたてること、2つ目は「特許移転ではなく、あくまで技術移転」:研究室のノウハウや、大学の先生の考え方、実験設備の微妙な改良などといったものも積極的に企業に伝えていくこと、3つ目は「ハッピートライアングル」:大学・企業・技術移転機関の3者が共に幸せになるようにすることです。これらのスタンスを原点として、科学技術を世の中でできるだけ広く使ってもらうことを目指した活動を行っています。

 マーケティングは、特許性・市場性の評価→方針の決定→候補企業へのコンタクト→条件の交渉・決定→契約というプロセスで行われます。

 どの企業にアプローチをするかは、発明者からの紹介のほか、独自の発掘調査により決定されます。発掘調査に関しては、インターネット、書籍(業界本)、DBサービス、電話帳、学術論文、特許情報、さらには部署内・外の人的ネットワークからの知恵が利用されています。

 企業との契約条件の決定には、全て書き記すほどができないほど多くの要素が関連します。技術のフェーズ(研究室での研究が産業化のどの段階にまで進んでいるか)、技術の強さ(他への応用性の大きさ)、製品の優位性への寄与度、製品・サービスの形態、市場規模・売上予測、利益の構造(初期投資、利益が出るまでの時間)、競合状態(製品の値段が自由に決められるか)などが決定要素として挙げられます。

 技術移転で問題となってくるのは、産学間の技術のギャップです。大学では主に基礎研究が行われ、産業化に向けた応用研究はさほど行われていません。従って技術移転を行う企業は、製品の開発、製造、販売の他に応用研究をも行わねばなりません。企業と大学がこの応用研究に関するギャップをどう克服するかが、技術移転の成功するポイントであるといえます。

 Niels Reimersはこう言いました。技術移転で重要なポイントは、「1.Marketing、2.Marketing、3.Marketing      And ...      You have to be lucky!」であると。

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