2022年11月26日、江東区・東川小学校の生徒を対象に、発明・発見教室「あれとこれを使ってDNAを取り出そう!」を実施し、1~6年生までの生徒・19名が参加されました。
生きものは、それぞれ「設計図」を持っています。この設計図は、DNA(デー・エヌ・エー)と呼ばれ、親から子どもに受けつがれていく遺伝情報が書かれています。人間だけでなく、犬や猫、鳥、昆虫などの動物、そして、植物もDNAを持っていて、アデニン、グアニン、シトシン、チミンという4種類の塩基が一列に並んだものがペアになり、二重らせん状に絡み合う構造になっています。
DNAの二重らせん構造は1953年に 科学雑誌「Nature」で発表され、この発見に貢献した研究者・ジェームズ・ワトソン博士、モーリス・ウィルキンス博士、フランシス・クリック博士は、1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
また、ゲノムやDNAを調べる・用いることで新しい発見・発明をし、ノーベル賞を受賞した人もいます。例えば、2022年に 絶滅した人類の祖先のゲノムを分析して、進化の謎を解明したことでノーベル生理学・医学賞 を受賞したスバンテ・ペーボ博士、2008年にオワンクラゲから緑色蛍光タンパク(GFP)を発見して、光る仕組みを解明し、GFP遺伝子を応用したことでノーベル化学賞を受賞した下村脩博士、マーティン・チャルフィー博士、ロジャー・チェン博士です。
今回の「発明・発見教室」では、身近な野菜や果物(ブロッコリーとキウイ)からDNAを取り出す実験を通じて、細胞や核の存在と性質、その中にDNAが入っていること、 細胞からDNAを取り出せることを実感してもらいました。実験では、まず野菜や果物の皮を取り除いて擦りつぶすことで細胞壁を壊し、中性洗剤・塩・水で作った抽出液に浸すことで細胞膜と核の膜を分解します。細胞壁などを取り除き、アルコールを加えることで、抽出液からDNAを取り出していきます。DNAはアルコールに溶けないため、抽出液がアルコールと接する境目に白くふわふわした状態で現れます(抽出物にはタンパク質も混在しています)。
最後に、参加者には、DNAを調べることで分かったこと(発見)を活かした技術(発明)が、現代の医療などに役立てられていることを伝えました。